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いのちを守る政治について

2010-01-31  メールマガジン「志は高く、熱く燃える」より

 
鳩山総理は1月29日、衆参両議院の本会議で所信表明演説を行い、いのちを守りたいと述べた。
 
「未来を担う子供たちが、自らの無限の可能性を追求していける」社会、「求職活動を続けている方々が、人との接点を失わず、共同体の一員として活動していける」社会、「誰もが、地域で孤立することなく暮らしていける」社会などと言っているが、この人は、人間の不幸はすべて国に責任があり、個人の自己責任は無いとでも思っているのだろうか。
 
私はテレビで総理の演説を聞きながら、これ以上国民を甘やかしてどうなるのかと思わずにいられなかった。総理の言っていることは、何の努力もしなくても楽しく生きていける社会を国が保障しますと言っているように私には聞こえるのだ。そんな国が一体どこにあるのだろう。もしあったら教えて欲しいものだし、そのような国を作るための財源は一体どこから持ってくるのか。
 
 
わが国ではすでに、自分が怠けていることを、政治のせいにしたくなる人たちが多くなっている。自立心が無くなった国民が増えればやがて国は崩壊する。

戦後1990年のバブル崩壊くらいまでは、わが国はずっと高度経済成長をしてきた。人口もずっと増加してきた。そのようなときであれば、政府は国民に対し、甘やかしの政策を取り続けることができるかもしれない。しかし、わが国のGDP(※1)はすでに20年も増加していないのだ。そんな時代に甘やかしの政策を取り続けることができるわけがない。

自分の国を自分で守ることを考えないことは、国民を幼稚にする。一国の総理に対して、まことに失礼な物言いではあるが、鳩山総理の「日米対等な関係」の発言などは、国の安全が如何にして保障されているかを理解していないところから出てくる。アメリカに守られていながら日米対等だなどと言うことは、小学生が親に向かって「対等だ!」と言っているようなものだ。まず、自立してから対等だと言えと言われても返す言葉が無い。すぐには出来ないが、10年、20年かけて自分の国を自分で守れる体制を作ることだ。そこで初めて日米対等な相互に助け合う体制が出来るのだ。
 



命を守るとか優しさとかばかり言っていては、国民の自立心を奪うだけである。



私には、人気取りの政策にしか思えない。鳩山政権の人気取りのために国民が自立できない方向にどんどん追いやられる。鳩山総理は、結果として日本国民を怠け者にしてしまうかもしれない。政府のやることは、現在の生活を守ることよりは将来の人材を育てることだ。現在の生活はそれぞれの個人の努力で守られるべきものである。

石原東京都知事や橋下大阪府知事が人気があるのは、優しいからではなく強いからである。国民に迎合する政治家ではなく、国民に苦言を呈することが出来る政治家に今こそ出てほしいと思う。




※1 GDP=Gross Domestic Product。国内総生産。
※2 セーフティーネット=「安全網」と訳され、網の目のように救済策を張ることで、その対象を安全や安心を提供するための仕組みのこと。すなわち社会保障の一種である。
 
 
 


  
 


消費税の増税はやめるべきである

2012-03-31  Amebaブログ「志は高く、熱く燃える」より

野田総理大臣は消費税増税に政治生命をかけると言っている。これに対し国民新党の亀井代表は連立を離脱すると言う。また民主党の中でも小沢一郎氏を中心とするグループは役職からの離脱などで増税を牽制している。マスコミは本件については総理がやろうとしていることを他の者が邪魔しようとする単なる政治闘争としての観点でしか報道していないようだ。
 
果たして増税は政策として正しいのか間違いなのかについてはほとんどマスコミで報道されることがない。マスコミにも増税は不可避だとする前提があるようだ。
 
3月29日の産経新聞一面で渡部恒三元衆議院副議長が「国益が第一」欄で、不人気でも今すぐに増税が是非とも必要だと言っている。また渡部氏は「仮に、消費税増税法案が当面先送りされることになったり、廃案になったりするようなことにでもなれば、日本の政治、経済に対する世界の信頼は著しく損なわれるだろう。国債市場への影響も懸念されるところだ。反対を表明して、若い人を先導するような行為は本当に論外だ」と述べている。しかし、この増税ありきの議論は間違っている のではないか。そして日本の信頼が失われるとか、国債市場への影響が懸念されるとか、現実には起こりえないことで国民を脅かしているだけである。
 
我が国はこの20年間、一時を除き緊縮財政を続けてきた。公務員を削減するとともに、公共事業も減らし政府の支出を最小限にすべく努力してきたのである。公務員も減ったし公共事業も15年前に比べれば半分以下になっている。その結果、国の借金が減ったかと言えば逆に増えている。十年以上も国を挙げて緊縮財政をやってみて、全く国家財政が立ち直る兆候が見えない。そして景気が回復せず税収が減り続けているので、国家財政を健全化するためには増税しかないと言う。
 
しかし増税すれば税収が増えるのか。20年前は消費税3%でも我が国の税収は60兆円もあった。今は消費税5%なのに税収は40兆円程度しかない。税率と税収は比例しないのである。
 
いま政府は国家財政を健全化することだけを考えているが、現下の長期デフレの状況下で増税を行えば、景気はより後退することは明らかである。消費税を導入したときも、消費税を3%から5%に上げたときも景気は減速し税収は減少している。いま増税を行えばまた10年デフレが延長されるだけである。国家財政はしっかりしているが、景気は最悪で、国民は仕事もなく苦しんでいるのでは本末転倒ではないか。
 
野田総理は1930年の浜口雄幸首相、井上準之助蔵相の「男子の本懐」を真似ているのではないかと思ってしまう。城山三郎の著書「男子の本懐政治は結果で評価されるべきであり、一生懸命やればいいというものではない。彼らは政治家としては無能だったのである。彼らは日本経済をめちゃくちゃにしたが、後の犬養毅首相、高橋是清蔵相の金融緩和政策によって日本経済は復活することになるのである。
 
いまの日本は積極財政に転換すべきだと思う。緊縮財政を20年もやってきて全く効果がないのだから、そろそろ緊縮財政を諦めた方がいい。この20年間の我が国不景気の中で、緊縮財政を止めて積極財政を実施しようとした小渕内閣、麻生内閣のときに景気回復の兆しが見られたのではないか。
 
経済学者の中で、三橋貴明氏、上念司氏、植草一秀氏、高橋洋一氏などが、政府やマスコミの言っていることとは正反対の積極財政論を展開しているが、私はこれらの人たちが言っていることが正しいのではないかと思う。我が国は借金が多く財政破綻を招くということは随分前から言われているが、いまだ破綻の兆候はない。先ほどの経済学者の皆さんは、我が国は現在のところ全く破綻を心配することはないと言っている。900兆円の借金のうち地方債の200兆円、建設国債など300兆円は担保の取れる借金で、いわゆる赤字国債は400兆円に満たないそうだ。そして我が国は赤字国債を上回る金融資産を持っているとか。
 
具体策としては政府が国債を発行し公共事業を推進する。国債は日本銀行にこれを買い取ってもらうことがいいそうだ。まず50兆円やってみる。そうすれば50兆円分の1万円札が市中に出回ることになる。それでも景気回復の兆候が見えなければ次の50兆円をやってみる。繰り返せば必ず景気は回復する。景気が回復すれば税収が増えて国家財政も立ち直るのだ。財政立て直しを先に考えると景気はどんどん悪くなる。デフレのときは大きな政府を目指すべきなのだ。
 
我が国が長期デフレを続ければ、我が国の優良企業がアメリカや中国などからどんどん買収される。外国は大歓迎だ。世界一の資産国である我が国は世界中から狙われていると思わなければならない。
 
 
 
 


 
 


「日本を取り戻す」とは

2014-11-25  amebaブログ「志は高く、熱く燃える」より

 安倍総理が日本を取り戻すと言って総理になった。それでは日本を取り戻すとはどういうことなのか。多分多くの国民は、再び強い経済力を持った日本を造ると受け止めているのではないか。しかし日本を取り戻すとはそれだけではない。もちろん強い経済力を持った日本を目指すが、併せて戦前の日本を取り戻すことではないかと思う。それが戦後レジームからの脱却である。こう言うと戦前の日本はろくな国ではなかった、戦争ばかりやりたがっていたと戦後教育を受けている人たちは、また戦争をする国を造るのかとか言って拒否反応を示すことになる。彼らは戦前の日本は、侵略戦争をして、アジア各地で残虐行為をしたという自虐史観に取り付かれている。しかし実は日本は戦前から立派な国だったのである。
 歴史は誰が作るのか。それは戦勝国である。戦争に負けた日本は一時戦勝国アメリカの歴史観を強制される。正義の国、民主主義国家アメリカ、極悪非道の独裁国家日本という構図の歴史である。しかしこれは真実ではない。我が国は戦前から立憲君主制という立派な民主主義の国家だったのである。民主主義という尺度で日米を比較した場合、戦前のアメリカが日本より進んでいた国だったなどとはとても言えない。例えばアメリカの黒人には戦前は選挙権が無かった。アメリカの黒人が選挙権を持つようになったのは、公民権法が制定された戦後20年も経った1964年の東京オリンピックの年なのである。世界の歴史学者の多くが言うとおり、白人国家の植民地主義に終止符を打ったのは第二次大戦における日本の戦いである。とすればオバマ大統領が誕生したのは、日本が大東亜戦争を戦った結果なのである。
アメリカは、占領下の日本で、徹底的な日本弱体化工作を仕掛け、戦前の日本が邪悪な国であるとの宣伝を行った。検閲により新聞、雑誌の記事を作るに当たり、自由な発言が封じられた。いわゆる「プレスコード」規制である。ラジオでは「真相はこうだ」という嘘番組が続けられた。日本の悪口ばかりが日本中を駆け巡った。これは言論弾圧であり、アメリカによって民主主義を与えられ言論の自由が生まれたなどというのは真っ赤な嘘なのである。アメリカは日本人5千人以上を高給で雇い徹底的な検閲を行った。その給料は日本政府が払わされたのである。
次に焚書が行われた。戦前の日本には、白人国家が15世紀ぐらいから有色人種の国を次から次と植民地にして残虐の限りを尽くしてきたことを書いた本はいっぱいあった。また日本が台湾で、朝鮮半島で、満州で何をやったかということを書いた本もいっぱいあった。読み比べてみれば日本がやったことは、白人国家のやった植民地主義とは全く違っていることがすぐに分かる。それらの本は7千種類以上も燃やされてしまった。これは歴史の抹殺である。
例えば日本は朝鮮半島に小学校、中学校を4千校以上も作った。京城帝国大学も作った。貧乏だった朝鮮半島に工場などを造り産業を振興した。朝鮮人も日本の帝国議会の国会議員になった。朝鮮人も日本の陸軍士官学校に入学して日本軍の将校になり、朝鮮人の将校が日本人の兵隊を指揮するということはごく普通のことだった。朝鮮の李王朝の皇太子殿下、李垠(イウン)殿下の下には日本の皇族、梨本宮方子(まさこ)妃殿下が嫁がれた。日本は朝鮮半島などを植民地にしたのではない。これを白人国家がやったことと比べてみればよく分かる。インド人がイギリスの国会議員になることはなかった。士官学校に入学することももちろん無い。オランダの王朝からインドネシアの王朝に嫁に行くこともあるわけがない。アメリカは、占領下で徹底的な言論弾圧と誇りある日本の歴史の抹殺を実行したのである。
 我が国は同じ民族が同じ土地で長年歴史を紡いで来た国である。戦前の日本は国民が幸せになるための国家の最適化が進められてきた国だったのである。家督相続制度があれば年寄りの一人暮らしは起こらない。おじいちゃん、おばあちゃんが一緒に住む大家族制度であれば子供の虐待や、子供の親殺しなども起きない。世代間の伝統、文化の継承もできる。おじいちゃん、おばあちゃんの生活は息子夫婦が見るので、年金も多額貰わなくてもよい。昔は50歳もすぎれば、財布は息子夫婦に渡し隠居だったのである。隣近所とつながりを持って生きる地域共同体も機能していたから、入院しても多額のお見舞いを貰うので、入院保険なども必要なかった。終身雇用、年功序列であれば安心して仕事を続けられる。そのような日本的生活安心システムが、占領下で壊され、冷戦終結後は、アメリカから我が国に対し毎年要請される年次改革要望書の交換などで次々と壊されている。小選挙区制になって何か良くなったことがあるのだろうか。競争入札一辺倒になって何がよくなったのだろう。郵政民営化は田舎の荒廃を招いただけではないのか。
 戦前の日本は、国民が安心して暮せるいいところがいっぱいあったように思う。日本を取り戻すとは、戦前の日本のよかったところを取り戻すことではないかと思う。日本は古い歴史と優れた伝統を持つ素晴らしい国である。私たちは、日本国民としての自信と誇りを取り戻さなければならない。